夏も終わって世の中のお休みモードがひと段落してきたので、温泉に出かけようと思い、箱根、湯河原、伊豆などを探していました。
湯河原にあってミシュランガイドにも掲載されている「石葉」さんに行こうかと考えていました。「石葉」さんは料理もおいしいと評判です。しかし、1年ほど前に料理長の中田氏が独立されたというのです。現在も、すばらしい旅館であることには変わりないと思うのですが、どちらかというと、料理をメインに旅行をしようと考えていましたので、どうしたものかと迷っていました。
少し調べていくと、その中田氏が1年ほど2015年に独立してオープンしたお店が小田原にあるというのです。
中田氏の料理を食べよう!ということで、温泉よりも、そのお店「円相」に行くことにしました。
小田原駅から10分ほど、小田原城方面へ歩いていきます。
駅の外へ出たら右側、小田原城方面へ歩いていきます。
途中に新しい駐車場があります。車で移動する方は小田原城やその近辺を散策するのにいいかもしれませんね。
小田原城方面へ向かっていきます。
小田原城を抜けると、湘南クッキーの自動販売機がおいてあるところがあります。
つい、買ってしまいました。湘南クッキーのみたくさんおいてありますので、おみやげにいいかもしれませんね。
湘南クッキーの自動販売機の前を通ると、左に曲がる道がありますので、そこを左折します。
左折すると完全に住宅街です。
すると、左手にお目当の「円相」が見えてきます。
品があり、清潔で気持ちのいいお店「円相」
この日はお昼の客は私達だけだったので、貸切状態です!おいしい和食を貸切でいただけるなんて、とても贅沢な気持ちになります。
お店の中はすっきりとしています。高級感のある店内に見えますが、静かでとても落ち着きます。写真では見難いかもしれませんが、彼岸花が一輪飾ってあります。本当にいい雰囲気なのです。
料理はさらにすばらしい!
お箸のセットからスタートです。お箸は先が水に浸かっていて、そこから出してセットしてくれます。これは、懐石では普通にあることで、お箸に食べ物がついたままにならないよう、食べやすくするために行われます。上の写真の中央の右側に透明の容器にお箸が入っているのが見えると思います。
まずは、突き出し。なすと貝とうにの餡かけです。
焼いたナスに貝とうにが添えてあり、香ばしさがあり、出汁はとてもすっきりとしています。おいしい出汁なので、最後まで飲んでしまいました。
次はお椀です。ハモ、インゲン、松茸、厚揚げ、ゆずが入っています。
汁がおいしいのはもちろん、素材にも微妙な味付けがあり、食べるといい塩梅の塩加減などがあり、抜かりなく作られていることがわかります。
次はお造りです。醤油とポン酢は自家製のものです。
お造りは、シマダイと鯛と、メジマグロです。お魚は新鮮で、鯛は歯ごたえよく、メジマグロは赤身をしっかりと感じる味でした。
自家製の醤油とポン酢はとてもおいしく、ポン酢はカツオの香りがよく、思わず全部飲んでしまいました。
次はお重です。
お重の蓋は、濡れています。これは、清涼感を表す計らいで、とても気持ちのいいものです。また、昔は偉い人の食べ物の毒味を終えた印として、重箱の蓋などに霧吹きで水をかけ、その後に誰も蓋を開けていないということを表していたようです。
中身は、枝豆(山椒と茹でたもの)、落花生とカニ(ジュレ掛け)、右上の皿には手作り、大根、鶏肉、自家製カラスミの盛り合わせ、手前に穴子の棒寿司です。
枝豆には山椒の風味が程よく感じられ、落花生とカニには全体に落花生の風味がよく効いています。そして、なんといっても自家製のカラスミがおいしくて、お酒が進んでしまいました。
次はカマスの焼き物と椎茸です。
カマスは一度焼いてから骨を抜いています。とてもふっくらしていて、脂感もほどよく、味もいいです。さらにお酒が進んでいきます。椎茸も細かく包丁が入っているので、味がしっかりとしみています。
ちなみに、お酒はビールから赤ワインに突入しています。この日のグラスワインはブルゴーニュで、すっきり目でしたが、味はしっかりとしていて、和食にもよく合う赤ワインでした。ワインは70種ほど用意しているとのことです。
次は炊合せです。 ナスと冬瓜と豚肉です。
おそらく別々に炊いたものを合わせているのだと思いますが、それぞれ、素材の味がしっかりと残っていながら、味がしみているという感じで、とても上品な味でした。豚肉の脂もしつこさなどなく、すっきりとして美味しく食べられます。
次はオクラの花とタチウオのすり身の天ぷらです。
オクラの花って食べるの?と思ってしまいますが、食べられるんですね。しかも、こうしてタチウオのすり身の周りにおいて、揚げたものが、すごくおいしいなんて。
ちなみにオクラの花も粘り気があります。香ばしくてとても美味しかったです。
そして、ご飯です。 ますと栗のご飯です。まさに秋を感じます。
ますは一度焼いたものを炊いているそうで、風味がとてもいい感じです。マスは琵琶湖のマスで、ビワマスです。出始めといった時期なのでしょうか。季節感を感じることができて、とても美味しくいただきました。 ますの出汁と栗の甘みがとっても良かったです。
すごくお腹いっぱいになってしまったので、残ったご飯はおにぎりにしてもらいました。
そして、最後に甘いものです。
いちじく、いちじくのシャーベット、黒糖のわらび餅です。私はあまりイチジクが好きではないのですが、地元でとれたイチジクということですが、とてもすっきりとしていて、おいしくいただきました。
食器のこだわりも!
食事をしながら中田氏と少しお話をしましたが、以前から食器を少しずつ集めてきたそうです。おいしい料理を引きててきた食器は一つ一つが古い時代のものや、使いやすいさ、料理のことを考慮して中田氏が選んできたものなのです。
中国の明の時代の皿や、デザートのスプーンとフォークも、真鍮でとても使いやすいものでした。
今がチャンスです。
2015年7月にオープンしてから、あまり宣伝をしていないとのことです。今回の昼の料理は1万円のコースです。ビール1杯ずつとグラスのワイン1杯をたのみましたが、2人で2万5千円より安い料金でした。
個人的には東京から東海道線でグリーン車に乗って、小田原駅からタクシーに乗っていっても、お釣りがくるような、破格の値段ではないかと思います。
行くなら、あまり知られていない今がチャンスではないかと思います。
久しぶりに出会った和食の名店でした。
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